この物語を私は読んだことがない。知ってはいたが、それは10歳年上の従姉の本棚に並んでいた背表紙の記憶でしかない。当時高校生だった従姉の本棚にはナルニア国物語、ドリトル先生、ゲド戦記、指輪物語と今思えばファンタジーの王道が全て揃っていた。そして私はそのどれもを読まぬままここまで成長してしまった。
という事で、全く予備知識がないまま鑑賞。先行したファンタジー大作「ハリーポッター」と「指輪物語」のどちらもピンとこなかった私は、これもまた楽しめないのではないかと一抹の不安を抱えていた。が、それは杞憂だった。面白いじゃーーーーーーん!ヽ(゚O゚ )ノ
物語については割愛しますが、動物が二本足で歩いて人語をしゃべる私の好きな世界観。ビーバー最高。何で英語が通じるのか、人間社会とは全く違う世界なのにクリスマスがどうたらって言ってるって事はキリスト教国家なのか、などなどかなり「???」な点もあったんですが、子供向けファンタジーだし原作を読むと謎が解けるのかもしれないので不問。
ナルニア国には、人間界にもいる普通の動物達と架空の動物が混在して生きてるようです。その他にもファンタジーではおなじみのユニコーン、ケンタウロス(2パターンあり)、一つ目の大鬼やゴブリン系の小鬼、フェニックス、ガーゴイル、あと訳の判らん奴ら(主に女王の配下)の造形はたっぷり楽しめます。そしてファンタジーと言えばドワーフ、ここ最近のファンタジー流行でいわゆる「小さい人」達は引っ張りだこですね。
しかし、ここ最近映画ではありがちな「善と悪の軍勢が入り乱れての肉弾戦」ってもうお腹一杯。デジャヴ感たっぷりです。
なんと言っても四兄弟のキャラが立ってていい。
長男ピーターはいわゆる良い子ちゃんで、見た目も金髪碧眼の王子様タイプ。最初から最後までまっとうな意見を吐き、正しく行動する。まぁこういう人が一人いないと大変だから必要な人物。いわば赤レンジャー。
そして問題の次男のエドマンド、小学校中学年男子の小賢しい馬鹿さがたっぷり。演じるスキャンダー・ケインズ君がまたいかにもな「英国の小僧顔」でいい感じ。この年頃の男兄弟の確執がもたらす「兄を出し抜き屈服させたい欲」、たかがお菓子に釣られる短絡思考、私自身は小学生男子だった経験はないが(笑)、判る判る、ほんとバカだよなぁ。主人公(赤レンジャー)に反発し一度は道を外れながらも、最後は和解して一番の味方となる青レンジャー。
長女スーザン、この子が一番普通の子なんだろうけど、なんとも感情移入しにくい。せっかくサンタさんから「絶対当たる矢」貰ってんのに、使ったのたった一回かよ!!!それで南の女王かなんかになっちゃうのは納得いかん。
次女ルーシー。なんとまぁ、エドマンドと別な意味で小賢しいっつーか、こまっしゃくれた小学生女子の可愛らしさと厭らしさを併せ持ついいキャラ。最初はなんてブサイクな子でしょうと思ってたけど、女王になってからは輝いて見えたわ。
という事で、続きが楽しみな作品です。
しかしねぇ、なぜ米人、特にディズニーは可愛い造形の動物をオヤジキャラにしちゃうんでしょうかね。ビーバーもせめて青年位にしてくれればいいのに、腹の出た禿オヤジが似合うキャラになっている(涙)。って事は、きっとあの千葉の沿岸部に生息する黒ねずみもオヤジなんでしょう。日本はお子様文化と言われるけれども、可愛いものは可愛いままあって欲しいと願います。
さらに、エドマンドが釣られたお菓子「ターキッシュ・デライト」ですが、映画内ではなんだか求肥みたいなモノに見えましたがそんなに旨いのか?詳細は米原万理さんの「旅行者の朝食」に詳しく出ておりますので興味のある方はどうぞ。